【プロが解説】塩ビ管(HIVP・HTVP・VP)の違いと、人工透析の廃液配管にHTVPが選ばれる理由

代表的な塩ビ管3種類(HIVP・HTVP・VP)の特徴と違い


実際に配管をする時にどんな種類のどんな材質を選択すればいいの?って迷いますよね。


ここでは塩ビ管3種類について説明したいと思います。



 HIVPって?




HIVPとは正式名称を耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管といい、従来のVP管にゴム成分を加え粘り強さを高めたものです。

耐衝撃性・耐食性・耐寒性にも優れています。

見た目の色は濃紺色(黒に近い青)で定尺一本の長さは4ⅿとなります。

主に建築設備の水道管として使用されることが多く、施工が容易で錆が出る心配がないというところも大きな特徴です。

排水管として使用する場合は流体温度が最大60℃程度まで耐えることができます。

給水管として常に圧力がかかる場合の耐熱温度は5℃~35℃となります。

5℃以下で凍結の可能性がある場合は配管に保温施工をする必要があります。

保温をしないと配管内の水が凍結して膨張するとパイプや継手を破損してしまいますので十分注意が必要です。

HIVPは施工も容易で鉄管やステンレス配管、樹脂配管に比べてコストダウンも期待できるでしょう。

ただし適切な支持をとらないと時間と共にパイプが波打って変形してしまいます。

やはり常時圧力のかかる給水配管の施工は経験豊富な配管工に任せるのが賢明です。



 HTVPって?


次はHTVPについて説明していきます。

正式名称は耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管といいます。

HIVPとの違いはまさに読んで字のごとく耐熱性に優れているという事です。

流体温度は最高90℃まで使用可能となっています。

パイプの色はダークブラウン(赤茶色)なので熱をイメージできて分かりやすいですよね。

こちらは主に建築配管の給湯管に使用されることが多いです。

ですが一部病院施設や特殊配管で熱を持った排水管(透析廃液の排水管)などでこの管種を採用するケースもあります。

一般的に部屋の中の給湯管として使用する場合は保温を施工しない事もありますが、

外部の配管で熱損失させない為には簡易的なワンタッチ保温よりしっかりとグラスウールで保温する事が望ましいでしょう。

排水管として使用しているからと言って外部で直射日光の下にさらしていると、

表面が変色して白っぽくなります。

衝撃に対しても強度が落ちるので露出の配管でパイプむき出しのままにするのはやめましょう。

パイプが破裂して熱湯が噴き出てきたら大変なことになりますよね。

施工自体はHI配管同様に容易ですが、このような事故を未然に防ぐ為にはやはり熟練の知識と経験が豊富な配管工に依頼しましょう。


 VPって?



最後はVP管についての説明です。

正式名称を硬質ポリ塩化ビニル管といいます。

色はグレーで、比較的に60℃以上の熱には弱いとされています。

こちらもやはり耐圧性・耐食性に優れ主に排水管として使用する事が主流ですが、

水道管や圧力のかかる排水管に使用する事もあります。

HIVPとの決定的な違いは耐衝撃性です。

VP管は衝撃に弱く割れやすい為、凍結する場所での使用には不向きです。

ですが給水配管として利用する場合でも外部からの衝撃の加わらない環境なら必ずしもHIVPにこだわらなくても良いでしょう。

コストダウンの選択肢として採用に至るケースも多々あります。

このVP管に耐火被覆のカバーが付いた物(耐火二層管)やVP管自体が緑色で耐火性能に優れた物(耐火性硬質ポリ塩化ビニル管)等この他にもまだあります。

一口に塩ビ管と言っても種類が何種類もあるんですよ。


人工透析の廃液配管で「HTVP管」などが選ばれる理由


人工透析室の設備工事において、一般的な水回りと同じ感覚で配管材を選ぶのは非常に危険です。特に「透析廃液の排水配管」には、一般的なVP管ではなく、先ほどご紹介した「HTVP管(耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管)」などの特殊な管種が強く推奨され、医療機器メーカー様からも指定されるケースがほとんどです。


では、なぜ透析の廃液にはHTVP管のような特殊な配管が必要なのでしょうか?その理由は、人工透析の廃液が持つ「2つの特殊な性質」にあります。


1. 高温の廃液(熱水消毒)によるダメージ

人工透析装置は、院内感染を防ぎ衛生状態を保つために、定期的な洗浄や熱水消毒が行われます。この際、装置からは非常に高温の廃液が排水配管へと流れ込みます。

一般的なVP管の耐熱温度は約60℃程度です。ここに高温の熱水が繰り返し流れると、配管が熱で柔らかくなり、たわんだり変形したりしてしまいます。その点、最高90℃まで耐えうるHTVP管であれば、熱水消毒の廃液にもしっかりと耐えることができます。


2. 消毒液による化学的ダメージ(耐薬品性)

透析の廃液や洗浄液には、次亜塩素酸ナトリウムなどの強い消毒薬品が含まれています。また、これらをそのまま下水に流すことは法律で禁じられているため、「中和装置」を通してpH値を調整してから排出します。

排水配管には常にさまざまな化学物質が通ることになりますが、HTVP管は熱だけでなく薬品に対する耐性(耐食性)にも優れているため、こうした過酷な環境でも劣化しにくいという特徴があります。(※現場の状況や仕様によっては、さらに別の耐薬品配管を選定することもあります)


不適切な配管が引き起こす重大なリスク

もし、コストダウンを優先したり、特殊配管の知識がない業者が通常のVP管で施工してしまったらどうなるでしょうか?

配管の変形や劣化が急速に進み、ひび割れや継手からの「水漏れ(漏水)」を引き起こすリスクが非常に高くなります。クリニックでの漏水は、高額な医療機器の故障や悪臭の原因となり、最悪の場合は休診という重大なトラブルに直結します。また、装置を納入した医療機器メーカー様へのクレームに発展してしまうケースも少なくありません。


特殊配管は「知識」と「確実な施工」が命

人工透析の排水配管は、「ただ管をつなげば良い」というものではありません。

メーカー様が指定する機器のスペックを正確に読み解き、最適な材質を判断する専門知識。そして、熱による管の伸縮(熱膨張)まで計算し、適切な支持金具の配置や接合を行う熟練の技術が必要です。


株式会社ケービーテクノでは、こうした特殊配管工事の豊富な実績を持っています。「自社の装置の性能を安全に発揮させたい」という医療機器メーカー様からの直接のご依頼や、「休診日を利用して安全な配管に改修したい」というクリニック様からのご相談にもワンストップで対応可能です。


まとめ

部分的な改修工事で設計士が介入しないとき配管材質で何を選択すべきか迷いますよね。

お客様にとってもコストが安い方が良いに決まっていますが、だからといって不適切な施工をすると後に大変な事故を巻き起こします。

給排水の衛生配管は塩ビ管というほんの一括りの管種だけでもその中に用途に応じた適正な材質が何種類も存在します。


代表的な使用例

HIVP

給水管に使用、地震に強く寒冷地や埋設配管・屋外露出配管に最適です。


HTVP

給湯配管・高熱を伴う排水配管に使用。


VP

集合住宅の排水管、排水ポンプから圧送される排水配管、プールや薬品工場等。


おまけの豆情報

ご家庭のキッチンの排水管の色って気にしたことないですよね。

ほとんどがVP管、もしくはVP管より肉薄なVU管(※色はどちらも同じグレーです)で配管されています。

・・・という事はパイプの耐熱温度は60℃程度じゃないですか!😨

沸かしたての熱湯やゆで汁もそのままシンクに流すと危険です。

ステンレスのシンク本体も「ボンッ!」って鳴ってびっくりしちゃったこともあります。💦💦

キッチンの下の配管は基本的に扉で隠れて普段は目にすることが少ないです。

熱湯の直接排水により配管が変形して漏水してても自分が気付く前に下のお家に被害が行く可能性もあります。

熱湯を流す際は十分冷めてから流すか、お急ぎの場合は蛇口の水を全開で流して下さいね。